2015/05/21 : お知らせ
大学院生として在籍した筑波大学では、発展途上国といわれる国々における識字の普及状況や、十分な識字能力をもたないために人々が生活のなかで抱えている困難に問題関心をもち、国際社会の潮流やNGO等による識字教育プログラム、それらを下支えする識字理論に関して、比較教育学と社会教育学にまたがる形で研究を進めてきました。
その一方で大学院生時には、平成20年度「質の高い大学教育推進プログラム」(文部科学省補助事業)に選定された筑波大学の取組「筑波スタンダードに基づく教養教育の再構築」(※1)の研究員としても活動しました。この事業では、グループ・ディスカッションやクリッカー、演示実験、学習管理システムであるMoodleなどを駆使したアクティブ・ラーニング型の教養教育講義科目の開発や計画、運営、評価の支援を行いました。また、アクティブ・ラーニング型授業におけるティーチング・アシスタント(TA)に対する研修プログラムを計画し、将来の大学教員や高度職業人を養成するプレFDの一環として実施してきました。活動を通して、大人数対象の授業科目でも工夫しだいで学生のアクティブ・ラーニングを促すことが可能であること、それが学修内容に対する学生の関心や理解の深まりをもたらすこと、TAとして関わった学生の教育力が向上することを実感しました。しかし同時に、アクティブ・ラーニングのさまざまな技法を効果的に授業に導入する難しさを感じる場面も多々ありました。以前の活動で得た知見と経験を活かしながら、AP事業を進めていきたいと思います。
本学AP事業で取り組む3つの施策のうち私は主に、①学域・学類の中核をなす科目群でのアクティブ・ラーニングの深化・充実と、②アクティブ・ラーニングに適した学修環境の活用・展開を担当します。このウェブページにある取組の「概要」等にも説明がありますが、それぞれの施策をここで簡単に紹介します。
まず施策①に関しては、アクティブ・ラーニングの多様な技法を適切かつ効果的に取り入れて行われている講義科目等を対象に、授業方法や技法の用い方、アクティブ・ラーニングを促すための工夫についての情報や授業担当教員の考えを「授業カタログ」として収集し、全学で共有していきます。また、各学類のFDリーダー(※2)を通してアクティブ・ラーニングやその技法に関する教員の共通理解を深めていきます。これらの活動により、授業改善に向けた教員間の相互作用を促しながら、「なぜアクティブ・ラーニングなのか」「担当授業科目の分野や自分の授業スタイルで、(どのように)学生のアクティブ・ラーニングを促すことが可能なのか」という疑問や「アクティブ・ラーニング型授業をするための参考になる情報がほしい」という要望に応えていきたいと思います。
もうひとつの施策②に関しては、アクティブ・ラーニング型授業において学生の学修支援にあたる上級生(学類生、大学院生)であるアクティブ・ラーニング・アドバイザー(ALA)の養成や、グループ学修に適した学修空間の整備と利用促進など、ソフトとハードの両面から学修環境の充実化を図っていきます。これらのうち、ALA制度は今年度発足しました。ウェブページの「お知らせ」にもありますように、4月には教職員を対象としたALA制度説明会が開催され、5月からALAの採用や研修、業務開始が一部の科目で進められています。これまでに経験のない新しい制度であり、色々な課題も出てくるかもしれませんが、学生の学修支援体制の確立に向けてより良いものへと改善していきたいと思います。
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